全体会

生きづらさの根にあるもの


 私たち青年司法書士は、過去より多重債務問題、成年後見、生活保護など様々な問題と向き合ってきました。様々な立場・境遇にある市民の声なき声を拾い上げ、権利として確立すべく社会に対し訴えかけ、行動してきました。それらの積み重ねが実を結び、その多くが司法書士業務として認められ今に至っています。

 では、これからもそのようにあるためには、私たちはどうすればよいのでしょうか。

 それにはまず、さまざまな立場・境遇にある市民の思いに気づくことが欠かせません。貧困者、一人親、男性、女性、介護者、高齢者、労働者、自営業者(小規模事業者)、専業主婦、少年事件の少年、障がい者、加害者、被災者、支援者、過疎地・都市部、外国人… 社会にはさまざまな立場や境遇において、それぞれの問題があり、自助努力だけではどうにもならない生きづらさが存在しています。そのためには、何事も他人事ではなく、身近な問題として捉え、司法書士としてどうにか取り組めるのではないかと考える癖をつけることが必要です。

 そして気がつくことができれば、自分たちにできることを模索し、取り組んでいけるはずです。そして、その取り組みは何らかの形で結果として残り、市民のために必要であれば業務となっていき、社会にとって司法書士自体も必要とされる存在になっていくと思います。

 基調講演では、取材を通してさまざまな立場・境遇にある生の市民の声を聞き続けてきたジャーナリストであり、現在は研究者として女性や貧困問題を中心にご活躍されている 竹信三恵子 先生をお招きし、社会の生きづらさのしくみについてご講演いただきます。私たち青年司法書士がさまざまな市民の思いに気がつき、取り組もうとするとき、そこにはどのような思いがあり、どのような問題点が存在するのか、私たちが司法書士としてどのような取り組みができるのかのヒントをここで得ていただけるのではないでしょうか。

竹信三恵子

【プロフィール】竹信三恵子 和光大学現代人間学部教授。東京生まれ。1976 年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011 年から現職。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、『女性を活用する国、しない国』(岩波ブックレット)、『ミボージン日記』(岩波書店)、『ルポ賃金差別』(ちくま新書)、『しあわせに働ける社会へ』(岩波ジュニア新書)、『家事労働ハラスメント〜生きづらさの根にあるもの』(岩波新書)など。共著として『全身○活時代〜就活・婚活・保活の社会論』など。2009 年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

「拡がる格差」「子どもの貧困」… 日々新聞には様々な事象が社会問題としてが掲載されます。
これらを読んだとき、貴方は何を想い、何をしますか?

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